心理作戦といこうか。
翌朝、真琴に今日から俺のマンションに来るようにメッセージを送り彼女が出勤をした後で引っ越しをする。
勝手な事をして、ごめん。と謝る。
引っ越し自体は難なく終え、真琴のご両親に挨拶を済ませ、真琴を迎えに行くと伝え別れた。
真琴に会ってから帰るかと提案をしたが、どうやら夕食を友人とする約束があるとかで足早に帰ってしまった。

真琴との約束は19時。
職場からマンションまで30分程で着くはずだ。
まだかまだかと、待ちきれなくなりエントランスへ向かう。
すると、エントランス付近でそわそわする真琴が居たーーーーー。

(可愛い。)
人見知りの真琴にはハードルが高かったか。と思い迎えに行く。

「真琴?
 何してるんだよ!?」

ビクッとしたが俺に気付きほっとする表情に切り替わった。
とてつもなくキスをしたい衝動にかられる。
それを我慢し、真琴の腕を掴み逃げられないようコンシェルジュの前へ行き挨拶を済ます。
彼女の事は昨日、説明はしてある。

「ちょっ、ちょっと!手は離してよ!
 ちゃんと来たんだから良いでしょ!?」

いやいやと掴まれている腕をほどこうともがく真琴を一瞬見たが直ぐにそらす。

「こんばんは。
 彼女が昨夜話していた、水谷 真琴です。
 本日からお世話になります。
 これから宜しくお願いします。」

「はい。野中様。水谷様、今後とも宜しくお願い致します。
 水谷様。野中様よりお話は伺っております。
 分からないことや困った事がありましたら、遠慮せずにご連絡下さい。」

「はじめまして…水谷と申します。」と人見知りの真琴の精一杯の挨拶に目を細める。

挨拶が無事に済んだので俺たちの部屋へ連れて行く。
< 120 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop