心理作戦といこうか。
エレベーターが到着したのに真琴が気付かなかったので、ゆっくり歩み出し手を引きながらやんわり知らせる。
「真琴?こっち。
3701が部屋番号だから、忘れるなよ。」
「え?なんで?また来ることあるの?」
「はあ!?」
何故?
どうして?
今日だけじゃないの?
と顔に書いてある可愛い真琴をつい許してしまいそうになる。
このまま帰らせる場所は自分で取り上げてしまったのだから真っ直ぐ部屋へ連れて行く。
ゆっくりドアを開け、玄関に引っ張る。
「靴脱いで、このスリッパに履いて。」
「うん。ふわふわのスリッパ気持ちい~」
真琴のこんな風に幼くなる姿を誰にも見せたくないと心の底から思う。
「え!?なにーーーーこれーーーー?」
「今日から此処で真琴も住む。
そういう約束だろ?
引っ越し業者にも知り合いがいるんだよ。
真琴のご両親には許可貰ってるし、真琴も昨夜okしただろ?」
「へえ?」
真琴がアパートで使っていたクッションやぬいぐるみをソファーに置いてあり、本棚もそのままの状態でこちらのリビングに移動した。
カーテンも真琴が使っていた物を付けてある。
テレビはお義父さんが欲しいとの事で引っ越しを頼んだ運輸会社にお願いをした。
ベッドは別の部屋にあるが、それは使う予定はない。