心理作戦といこうか。
千景の名前ばかりを口にする真琴の口を塞ぎたい気持ちをグッと我慢をする。

「それで?
 あと、真琴が不安に思うことってなに?
 今まで住んでいたアパートと勝手が違うからか最初は不慣れだと思うけど徐々に慣れていけばいいだろ?
 もし、真琴が此処のマンションが嫌なら引っ越ししても構わない。」

「えっ!?
 そっそこまでしなくてもっ!!」

「最近、ちかちゃんに会えてないから寂しいな。。。」

また、ちかちゃん。
千景。俺に協力するって言って内緒で会ってないよな?
ったく。

「仕事なんだから仕方ないだろ?
 それに千景だって男なんだ。
 二人だけでなんて会うなよ。」

「なんで?」

「なんででも。
 約束を破ったらどうなるか知らないぞ。」

約束を破ったらこの部屋に括り付けておこうか。
もう、千景の名前を二度と口にしないように誰からも見られないように。


「玲くんって昔から思うけど、凄く過保護だよね。」

どうすれば、こんなにも鈍感になれるのか。 
こんなだから、真琴が心配で心配で仕方ないがない。
どうか、俺の前だけであってくれと願うばかりだ。
< 126 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop