心理作戦といこうか。
不意に真琴がダイニングテーブルの方へ目を向けたので空腹でそろそろ食事にしたいのだろうと勘づく。

「玲くん?ごめんなさい。
 そっその・・・」 

「真琴。腹へったんだろ?
 先に飯にしよう。」

やっぱり。
空腹でご機嫌斜めになられても困るので食事をする事を提案する。

「うん!!」

「真琴!?」

「あっ!ごっごめんなさい!!」

今度は不意に真琴が飛び付いてきた。
子どもの頃ならしょっちゅうで、兄弟のいない真琴は俺や千景を兄のように慕い、甘えてきたっけ。

俺が高校に入学してからは真琴の方が遠慮するようになって何とも言えない気持ちに襲われたのを思い出すと抱き締める腕に力を込める。

「れっ玲くん・・・?
 えっと・・・。」

「真琴?
 俺以外の男にこんな風に抱きついてないよな?」

そういえば、真琴の事だから職場の奴や千景に抱き付いてるんじゃないかと心配になる。

「ふぇ?」

「真琴?
 ちゃんと質問に答えて。
 場合によっては外出の制限かけるぞ。」

制限というより、この部屋に括り付けて閉じ込めるが?

「へえ?
 れっ玲くん!?
 そっそんな事、するわけないでしょ!!
 どっどうしたの?
 何に怒ってるの?」

「真琴が心配だから怒ってるんだよ。
 千景にも抱きつくの禁止な!」

禁止も厳禁。
千景に真琴を取られたらたまったもんじゃない。
それに俺の目の前でそんな光景見たくもない。
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