心理作戦といこうか。
真琴の態度を見ると完全に昨夜の事は忘れていると確信し、彼女の肩を抱きながら彼女の持ち場まで連れていく。
「おはようございます。
お忙しいところ、大変恐縮ですが皆様にお集まり頂けますか?」
「玲くん?」
会釈をし、課の方達を集めて貰うと何事かとぞろぞろを集まってくる。
「お忙しい始業時にお集まり頂き、ありがとうございます。
手を止めさせて、すみません。
いつも、水谷がお世話になってます。
僕は彼女とお付き合いをしている野中 玲と申します。
将来の事が決まりましたら、また日をあらためてご挨拶に参ります。
至らないところがあるかと思いますが、どうか暖かい目で見守って下さると僕としては助かります。」
これくらいはさせてくれと心結の中で真琴に許しを言い、彼女の腰に手を回す。
まずは、大事なことを終わらせる。
もうひとつ、真琴に片思いをしていた相手が此処にいない事を確認し今は別の部署だとほっとした。