心理作戦といこうか。
ほぼ満車の駐車場に焦りながらも停車し、総合受付の待合室へと大股で足早に行く。

(ああ。彼か。)

待合室に着くといつか、真琴に告白めいた事を言っていた男性を見付けた。

彼に近くと一礼をする。
「お待たせして、すみません。
 野中と申します。
 水谷真琴の件で…間違ってたらすみません。」

「あ!良く分かりましたね。
 間違ってないです。
 山内と申します。
 これが水谷さんの荷物です。
 点滴は二時間ほどかかるそうで、まだあと一時間半はかかるかと。
 僕は…その…そろそろ彼女が…」

彼も椅子から立ち上がり帰る素振りをみせる。
「ああ。その…何か彼女が不安になってたら僕と真琴でご挨拶に行きますから連絡してください。
 もしかしてら、月曜日は休暇を取るかも知れません。
 度々のご迷惑かとは思いますが、宜しくお願い致します。
 本日はありがとうございました。」

と普段なら渡さない名刺を彼に差し出す。

彼も驚いた表情を見せたが躊躇いもなくうけとってくれ、今日は名刺を持ち合わせていないのでとレシートの裏に連絡先を書いて渡してくれたのを受け取った。

もう一度、お礼の言葉と一礼をし彼と別れ点滴が終わるまで待合室で待つように助言を受けたのでそうした。
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