心理作戦といこうか。
彼女の行く手を塞ぐ。「真琴。いい加減気付けよ。」
ボスンッと椅子に座り込んだ真琴の腕を掴もうとすると、払い除けられる。
嫌々と言ったように、何で居るの?と見るからに分かる表情。
「真琴!」
唇をギュッと噛み、おもいっきり睨まれる。
「真琴の番号は何番?
モニターの番号で真琴の番号があるなら会計に行かなきゃだろ?」
フンッと首を横に向け、目を合わせない。
「病院の人だって真琴がお会計してくれないと困るからモニターに出てるなら行こう。」
無反応。黙りを決め込む真琴。
「真琴が考えてる事は分かる。
でも、此処では話せない。
とにかく家に帰ろう。」
此処で俺も怒ってしまったら真琴はもっと殻に閉じ籠るだろうな。
「山内さんは何処にいるの?」
「山内さんは帰ったよ。
だから、俺がここにいる。」
彼には感謝しかないな。
まさか、この場所に真琴がいるなんて自分一人じゃ見つけるまでに何日かかったか想像もしたくない。
「山内さんに鞄預けてるから彼に会いたい。
玲くんは帰っていいよ。
今日は山内さんのお家にお邪魔になるからっわあ!?やめて!!」
山内さん、山内さん、っていい加減嫉妬して来たので担ぎ上げる。
「玲くん!!おろして!!」