心理作戦といこうか。
リビングへ行くと優雅にお茶をする両親が目に入りため息をつく。
何しに来たんだよ!と心の中で突っ込みを入れる。
ソファーの真ん中で真琴を取り囲む両親。
千草はダイニングチェアでスマホを弄り全く興味のない様子。
「遅かったじゃない。
コーヒー冷めちゃうから玲のは淹れてないの。
自分でやってちょうだい。
まこちゃん、玲のは自分でやるから座ってお茶してしましょうね。」
立ち上がった真琴を制し、我が物顔でケーキにフォークを刺し口へ運び俺の存在を打ち消す。
母親は自分のお気に入りのお嫁さんには目がないとかなんとか言ってたっけ。と呆れる。
「……。
親父たちは何時帰るんだよ。
余り長居すると高速混むぞ。」
親父の方を見ると「なんだ母さん話してなかったのか。」と仕方ないから自分から話すかと真琴のお父さんとの会話を中断した。
「ああ。今日は泊まりだから心配ない。
真琴ちゃんだって平日はまだ仕事してるし引っ越し自体は明日だったよな?
付き添うよ。」
「はあぁぁぁあ!?」
「ほらね~玲に言えば反対するって私の予想的中でしょ?」
「さすが母親だな」とか「真琴にも黙っておいて正解だったわね」とか「何だか学生時代を思い出すな。修学旅行みたいだ」とか盛り上がっている両親たちの尻目に申し訳なさそうに眉毛を下げる真琴。
「そういう事で兄貴宜しくなっ
もちろん俺も泊まってく~
UNOとかトランプあるか?
久しぶりに勝負しようぜ!」
「お前なあ」
「玲君、ごめんね。
なんか勝手に決まっちゃってて…
こんな風にお泊まりするのって久しぶりだから了承しちゃったの。」
真琴には興奮して無理しないようにと釘を指し、千草は千草で満更でもないその態度に呆れ俺の部屋には入らないように厳重注意をした。