心理作戦といこうか。
大学の卒業記念に玲君のお母さんに頂いた写真立てを手に取る。

モザイクビーズでカラフルな写真立てに結婚式の写真が填めてある。

「この写真立てはね、玲君のお母さんがくれたの。
 私の大学の卒業式の時に。
 この写真立ては結婚式の写真を填めたくて取っておいたの。
 やっと念願叶った。玲君ありがとう。」

「母親らしい派手なデザインだな。
 それでも真琴のウェディングドレス姿は負けてない。
 余りにも似合ってるから心臓の音がやばかったよ。
 凄く綺麗だ。」

「ふふふ。玲君が素直に誉めてくれると嬉しいけど、ちょっと恥ずかしい。
 玲君だって白いタキシードすっごく似合ってドキドキしっぱなしだったよ。」

「真琴は言葉にしないと変な妄想しそうで心配だから素直になる事にした。」

「うん。私も…そうする」

人生がいくつかのスタートラインがあるなら、この時は何番目だろう?
ホワイトのタキシード姿の彼の隣にクリーム色のウェディングドレスに身を包むのは少しお腹が大きくなった私が写された一枚。
沢山の人に祝福された二人ともとても幸せそうだ。
その思いをそのまま閉まっておくように写真立てを撫でる。


玲君の成人式の写真立てと私の高校の卒業式の写真立ての間を少し開け、私の成人式の写真立ての隣に置く。
< 164 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop