【短編】僕の視線の先には…
「なぁ?はっきりさせねぇ?」
雄馬の表情は真剣そのものだった。
「俺、わかんねぇんだ…自分が。」
「は?何言ってんだ?お前。」
「いやぁ~…何つぅかよぉ、俺自身もあいつのこと好きなのか、わかんねぇのよ。」
「でも、目で追ってるぜ?」
「だとしても、俺の中でそれ、実感ねぇんだよ。」
「ふ~ん、お前、心の中で自分に問いかけてみ?」
「問いかける…?」
問いかける…?何を?
あいつを好きなのかどうかってか…?
「あぁ、自分が自分でわからなくなった時、自分の心に問いかけてみると結構答え出るもんだぜ?」
俺は気づけば雄馬に相談に乗ってもらっていた。
「自分に問いかける…かぁ。やってみっかな。」
「おぅ!」
…俺はあいつが好きか?
――それとも嫌いか?
好きじゃねぇか…?
“…………。”
ん?何も出ねぇぞ?
そう思った時だった…
公園の前を犬の散歩をしている女子が視界に入った。
ん…?あいつは見覚えあるなぁ…
そう思って目を細めて確認した時…
―ドクンッ!
俺の心臓は大きく高鳴った。