【短編】僕の視線の先には…
「俺は…」
「ん?」
「俺は…あいつが好きだ。」
わかった、俺の中でやっと答えが出た。
俺はあいつが好きだ。
最初に出会ったあのときから…。
きっと、あの時から…
俺はあいつが好きだったのかもしれない。
雄馬のおかげでこの気持ちに気づいた。
でも…今の雄馬はライバル。
この勝負…俺は勝てんのかぁ?
俺の周りにはいつも女子が居るから軽い奴って思われてたらやだなぁ…。
俺は急に不安感で押しつぶされそうになる。
…これが恋ってやつなのか…?
「やっと、答え出たな。うっしゃぁ!本気で勝負だな!」
雄馬は公園の前をあいつが通ったことに気づいていない様子だった。
「なぁ…雄馬?」
「ん?」
「さっき、公園の前通ったの気づいた?」
「ん?誰が?」
雄馬はそう言いながら公園の前に視線を移す。
「あいつが。」
「はっ!?まじっ!?」
雄馬の視線は勢いよく俺に戻ってきた。
「なぁーんで言ってくんなかったんだよっ!?まだ間に合うかもしれねぇ!」
そう言った雄馬は駆け足で公園の前に走って行った。
「はっ!?おまっ!何してんだよぉー!!!」
俺が言った時にはもう雄馬の姿は小さくなっていた。