【短編】僕の視線の先には…
でも…さっき、勝負するって言ったばっかだしなぁ。
「あ、あのねぇ、こいつも言いたいことあるって言ってんだけど、聞いてくれる?」
雄馬は優香ちゃんの肩から手を外し、次は両肩を掴んで俺の方に向けた。
―ドクンッドクンッ…
俺の心臓はどんどん早く脈を打つ。
「あっあのっ!」
「…はい…。」
「俺も、ずっと好きでした!」
俺は思いっきりでかい声で言いながら、手を差し伸べていた。
「…え?」
きっと…優香ちゃんはすごく驚いた表情をしていただろう。
俺は頭を下げていたから優香ちゃんの表情は読み取れない。
「俺とこいつっ!どっちか選んで?」
そう雄馬は言うと俺の横に並び俺と同じ格好をした。
「ちょ…」
「頼むっ!!両方だめならそれでもいい!でも…優香ちゃんのはっきりした答えが聞きたい!」
俺の横で雄馬がそう叫んだ。
「あの…私の本当の気持ち…言ってもいいですか…?」
「「え…?」」
俺と雄馬の声が思わず重なった。
「あっ、うん。いいよ!」
雄馬は伸ばした手を下ろして笑顔で言う。
「私…」
優香ちゃんは俯きながら話し始めた。