【短編】僕の視線の先には…
「好きな人居ます。」
「「え…?」」
また俺たちの声は重なる。
「その人は、いつも女の子にモテていて、チャラそうに見えるんだけど本当はしっかりしていて頼れる人で、笑顔がとても素敵な人なんです。私なんかすっごく遠い存在なんだって思ってました。でも…」
さっきまで俯いていた優香ちゃんは勢いよく頭を上げた。
「やっと叶いました!」
そう笑顔で言った。
「やっと…?」
雄馬の声に張りがなかった。
「え…?」
俺がゆっくり反応しながら、
視線を手元に移すと…
優香ちゃんは俺の手を握っていた。
「優香…ちゃん?」
「はい!私、真治くんのこと、ずっと好きだったの!いつも周りには女の子が沢山居て、すごくモテてるから私なんて入る間なんてないって思ってた…。でも、今日真治くんから好きって言われて、最初は冗談じゃないかって思った。でも、真治くんの表情は真剣そのものでとても嘘をついてるようには見えなくて…だから、私は真治くんを選びます。」
「はっ!?まじっ!!!!」
俺が言う前に雄馬が叫んだ。
「まじありえねぇ~!こんな奴のどこがいいのー?」
本当にがっかりした表情で言ったかと思うと、
「こいつ、エロいよ?」
意味深な笑みを浮かべながら優香ちゃんに耳打ちでそう言った。
「おまっ!嘘言うなぁー!」
俺は雄馬を叩く。