【短編】僕の視線の先には…
「あいつ、可愛くね?」
雄馬は指を指しながらそう言った。
俺はその指の先を見て、返事する。
「えー?そぉーか?普通じゃね?」
指の先には、その子の担任であろう先生と笑顔で話している生徒だった。
制服の横の文字が赤だから、
俺らと同じ学年ということはすぐにわかった。
「お前は理想が高すぎんだよー!俺の中ではストライクだぜ?」
そう言った雄馬の表情は恋をしている表情、そのものだった。
「はいはいっ、せいぜい頑張れや。」
同じ学年だけど…あんな奴居たっけな?
俺は心の中であいつがこの学校に居たのか、探っていた。
「あー!お前っ!適当だなっ!」
「ちげぇーよっ!本気で応援してるって!」
俺は適当ながらも半分真剣に答えた。
「お前はよぉー、モテっからそんなこと言えんだぜぇー?」
「あー、はいはい。モテる人は困んだよー!」
―俺はこの時、自分の気持ちに気づかなかった。
これから…俺は自分の気持ちに気づかされる事が起きる…。