推しを愛でるモブに徹しようと思ったのに、M属性の推し課長が私に迫ってくるんです！

就業後の二人② 浮田課長視点

＊＊＊＊　就業後の二人②　浮田課長視点　＊＊＊＊


「お、俺を縛って欲しいんだ……。そしてなじってほしい」


　立ち上がった俺は首に巻いていたネクタイを解き、それを西浦さんに手渡す。西浦さんは驚いて目が点になっていたが、大丈夫、君は女王様なのだからやれるよ！


　俺は西浦さんに背を向けて両手を差し出す。後ろ手縛りなのだが、彼女は知っているだろうか？　ああ、心配は無用だった。流石の彼女は完璧に縛れたようだ。その締まり具合に「んぁ……、いいね」と、甘い声が思わず口から漏るほどだ。


「か、課長……。なじれと言われましても、浮田課長は完璧でなじる要素は皆無ですが？」

「はぅっ！　それ、だよ……。完璧だという褒め殺しがきたね、くぅ……」


　西浦さんはもう言葉責めを始めている。ああ、本当に君は理想の女王様。


「じゃあ、浮田課長……。そこにひざまずいて！」

「……はい」


　西浦さんは脚を俺の肩に載せる。その脚をウットリと見ていた俺は、そのまま視線を彼女に移す。そう移したのだ……。しかしそこには、予期しない物があった。