白井 花太郎と真冬の帰り道しましょ。【完】
「……よし!ついてきてないな」


コンビニから少し離れた場所で後ろを振り返ってみた。
そこにいたのは犬の散歩をしているおばちゃんだけだ。
安堵した私はコンビニ袋の中からおでんのカップを取りだし、カップを両手で包み込む。
この状況では非常に有難い温かみがじんわりと伝わってきた。

テープで止められていたカップの蓋を開ければ、白い湯気に運ばれてきた匂いが嗅覚を刺激する。
半額だっていうから餅入り巾着二つも買っちゃったよ。それと定番ともいえる大根にたまご。
夕飯入らなくなると困るから、これでも個数は自重したつもりだ。
それにしても出汁が染みてて美味しそうだなぁ。
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