婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
プロローグ


「セシリア・ローズベリー。ただ今をもって、私との婚約を解消する」




部屋の隅で、顔を覆って崩れ落ちる父、ブランドン・ローズベリーが視界に入る。




こうなることは……

婚約を破棄されるであろうことは、もうずっとずっと前からわかっていたこと。

だからこそ、ここ数年は心の内で、最後はどう振舞おうかと考えていた。もちろん、覚悟も決めていた。


けれど、実際に父親のそんな姿を目の当たりにすれば、どうしたって心は痛む。



これは、私だけにはわかっていたことなのだ。
こうなる運命は、どうしたって避けられなかったこと。


仕方のないことだった。








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