婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
どれぐらい時間が経っただろう?
雨はザアザアと振り続けていて、やむ気配はない。


水晶を見つめ続けていても、一向に何も見えない。
意地悪……もしかして、この水晶は意思を持っているのかしら?とすら思えてくる。

いいえ。私が落ち着いていないからかもしれない。


焦りとも苛立ちとも、なんとも言えないもどかしい気持ちで、ただひたすら仲間の帰りを待っていた、その時。ガタッと入り口が開く音がした。


ガバリと顔を起こして、目を見開いた。


「えっ……誰?」


そこに立っていたのは、すらりとした長身の男性だった。
歳は……20代中頃かしら?クリッとした大きな瞳はタレ目がちで、どこか憎めない愛嬌がある。

彼はその腕に、自分よりもがたいのよさそうな男の人を支えていた。さらに、その周りで手を添え手助けしているのは、チェリーとミーとナー。





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