婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「やる」

グノー自ら申し出てくれた。
この場は、〝この歳のおばばなら、若造の体なんて造作ない〟と言ってのけたドリーとグノーに任せて、私は一旦部屋を出た。


「ライラ、ドリーに言われた通り、お店はお休みにしたからね」

「ありがとう、チェリー。この雨だもの。元々誰も来なさそうだわ。
チェリーも、今日はもう帰る?」


ウサギの彼女だって、濡れるのは苦手かもしれない。待っていても雨は強まるばかりで、やむのは夜遅くになりそうだ。


「んー、あの人は、任せてもいい?」

「ドリーもグノーもいるから、大丈夫よ」

「じゃあ、私は帰るね」

ポンとウサギ姿になったチェリーは、常備してあった小さな雨用コート起用を羽織ると、雨森の中をピョンピョン跳ねていった。むちゃくちゃ可愛い。



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