婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「そう。ポケットにな、カエルを入れとったわ」


〝潰れてなくてよかったな〟なんて、意地悪く言うドリーの声なんて、耳に入っては来ず。


「……カエル……」


それは、まあ……かわった相棒だこと。
いや、好きなものは人それぞれだからね、いいのよ。なにを連れていようと。

ただ、私はちょっと……


「そ、そのカエルはどうしたの?雨だし、外に出してあげてもちょうどいいんじゃないかしら?」

「気を失っとったから、即席の入れものに入れておいてやったさ。
ポケットに入れてたぐらいだ。勝手には出さん方がいい」

「は、はあ……」


気を失ってるからって、相手はカエル……なのよね?カエルに対するこのちょっとした高待遇は、一体なんなのか?


「とりあえず、2人とも状態は落ち着いておったし、今夜はついていなくてもよいだろう」


2人……男性と、カエルのことよね……?


様子が気になりつつ、未婚の私が男性と同じ部屋で一夜を明かすわけにもいかず、早々に部屋に引き上げることにした。










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