婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「ど、どちら様でしょうか?」

別人かもしれないと警戒しつつそう問えば、ハッとしたような顔をして軽く頭を振った。


「昨日、仲間を助けてもらったのだが」


やっぱり、昨日の人とは別人なのか。

じゃあ、この人は誰なのか?
どうやってここまで入ってきたのか?

ここにきて、一気に警戒心を強めた。
いつでも部屋に入って鍵をかけられるようにと、手を添えていたとってをギュッと握ったその時、2人の間にあった部屋のドアが、ガチャリと開いた。

「ド、ドリー」

ドリーは私と対峙していた男性の顔をじっと見つめると、ニヤリとした。


「なるほど。そういうことか。安心せい。なにも言わん。今のところはな。あのことも……」


チラリと私に目を向けるドリー。一体なんの話をしているのかしら?





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