婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「俺の番、と言いたいところだが、残念ながらまだ契りを結んでいない。訪問先のグリージアに合わせて、今日のところは〝婚約者〟とでもしておこう」


〝しておこう〟じゃない!!
この人、なにを考えてるのよ。


「勝手なことを、言うなー!!」


私の絶叫を無視して、馬車は予定通りトールキャッスルに到着した。

馬車を降りて見渡せば、少し離れた店先で興味津々な視線を向けてくるハロルドがいた。ヒラヒラと手を振っておく。彼の商売は、なかなかに順調だそうだ。


とりあえず、サンミリガンの同行者と合流したのはいいけれど……


「この人数?ルーカス、あなたって第一王子なのよね?」

なんと、来ていたのはジャレットともう1人のみ。

「2人とも腕が立つ。護衛はこれで十分だ」


ありえないでしょ……
この人、次期国王になる人よ。

獣人社会、おかしいよ、絶対……





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