婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「えっと……ドリー?」

『なんだ?』

「あなた、何者?」

私の問いに、アルフレッドもルーカスもうんうんと頷いている。


『しがない宿屋の女将だが?』

「それだけじゃないでしょ?」

元より只者ではないって思ってたけど。
魔女であるミランダが呼んだ、〝ドリス様〟という名前。ドリーには、違う顔があるはず。


「ドリス……もしかして、マージュミアルの王女だった、ドリス殿か?」

「お、王女様!?」

アルフレッドがなにかに気が付いたのか、顎に手を当てて考え込んでいる。


「確か……先代王の娘。稀に見る魔力の強さに、マージュミアル中の魔女達が恐れるほどだが、ある時、ふと行方知れずになったとか……」


は?なにその背景は……





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