婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「どこへ行く、ルーカス。雨ぐらいでなんだ?」

「は、離せ、アルフレッド」


本当に、ルーカスはなにをそこまで慌てているのかしら?アルフレッドの手を、必死に振り払っている。


「視察は延期だ。サンミリガン側の急用でな。安心しろ。グリージアに落ち度はナシだ。とにかく、離せ!!」


ジャレットまでそこに加わったかと思えば、慌てて騎士も寄ってきた。


「そんか勝手が許されるわけあるか」

「いいから離せ」


なんだろう、このやり取りは……


「あ、雨」

一粒頬に感じたと思ったら、あれよあれよと降ってくる。濡れたくないから馬車にもどろう。


くるりと背を向けたその時、アルフレッドの驚いた声が響いた。



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