婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「ぷ……くっくっくっ……ルーカスが……くくく……」


馬車に乗り込んでから、アルフレッドはずっとこの調子だ。堪えきれない笑いに、涙まで滲ませている。

「アルフレッド様!!」

咎めるように言うのはジャレット。
帰りは彼も同乗した。その手中に、大人の拳大のカエルを、大事そうに乗せて。


「すまん、すまん。けど……ぷ……」

「ちょっ、ちょっと、そんなに笑ったら失礼よ」

一応、諌めてはみた。

「そういうライラだって……ぷ……全力で端に身を寄せているじゃないか」

「そ、それは……」

カエルはちょっと……
いや、かなり苦手なのよ。


「おふたりとも、失礼ですよ」

なんて、ジャレットは咎めてくるけれど、そんな尊大な態度のカエルを、見えるように手に乗せているんだもの。彼にも非はあるはず。

『ゲコゲコ』

「ひぃ」


鳴き声に、ますます身を遠ざけようと試みる。


「姿はアレですが、話していることは理解されています。記憶もちゃんと残ってるんですよ」


そんなこと言われたって……





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