婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
つい少し前のことを思い出していた。

雨が降ると聞いた途端に、突然取り乱したルーカス。

あっ、と思った時には遅かった。
急に姿が見えなくなったと思ったら、なんと、カエルに変身していたのだ。


「獣人じゃなかったのか?」

と思わず呟いたのはアルフレッド。「説明は馬車の中で」とジャレットに促されて、とりあえず乗り込んだ次第。


「以前、マージュミアルへ調査に行った時、私とルーカス様は、ミランダと遭遇してしまったんです。その際、ミランダがルーカス様をえらく気に入ってしまい……」

ああ、それでさっきのやり取りだったのね。

「あの時は、別件をでっち上げて訪問していました。ミランダがこの事件の犯人だということは、まだ掴めておらず、穏便に引き返そうとしたんですけど……」

苦々しい顔をしたジャレット。
よっぽど嫌なことをされたのだろうか?


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