婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「ですが、城に行くほどの気力も体力もなく。とはいえ、ルーカス様を安全の保障のない宿に泊めるわけにもいかず……そこで、森の奥に宿があったことを思い出して向かったんです。途中で力尽きてしまいましたが……」

「そうだったの」

未だ身震いをするジャレットに、当時の壮絶さが想像できてしまう。


「それで、なんでカエルなんだ?」

アルフレッドの問いに、私もうんうんと頷く。
今の話のどこにもカエルはいなかった。


「それが……ですね……」

ジャレットは、意見を伺うようにカエル……いや、ルーカスに目を向けた。でも、返ってくるのは『ゲコゲコ』のみ。


「ぷ……」

「アルフレッド様!!」

「す、すまない」

こほんと咳払いをしたアルフレッド。
ジャレットは、気が進まなそうに話を続けた。




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