婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「実は……ミランダは、本当にルーカス様を気に入ってしまったようで……」

〝運命〟とか言ってたしね。
おまけに、名前を呼ばれただけで相当喜んでいたし。


「その場を後にしようとしたルーカス様に向けて、呪いを放ったんです」

「その結果がカエルか?」

『ゲコゲコ ゲコゲコ』

アルフレッドの気遣いのかけらもない問い返しに、カエル……いや、ルーカスが怒りを表している……と思う。
なんせ、さっきから一本調子の『ゲコゲコ』ばかりだ。心情までは伝わらない。


「ええ。雨を浴びると、数時間こうなってしまいます」


なるほど。
ジャレットを保護したあの日、ポケットにいたカエルは、まさしくルーカスだったのね。

翌朝、彼がどこからともなく現れたのも納得だ。


「だから、いつも雨の日を占えって言ってたのね」

ついでに言えば、ルーカスが宿に来るのはいつも晴れの日ばかり。カエルのことを知られたくなかったのだろう。



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