婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
カエルの魔法を解く方法
「おかえり」

食堂で出迎えてくれたドリーに、「ただいま」と返す。
ドリーには、いろいろと聞きたいことがあるけれど、まずはカエル……ルーカスのことだ。

「ふはは……これはなんとも……以前に増して、太々しく態度のでかいカエル様だこと」

「ドリー!!」
『ゲコゲコ』

ジャレットとカエル……ルーカスの抗議の声が被る。ドリーはおかまいなしだ。

だって、ここはサンミリガンの国内じゃないから。カエル……ルーカスが誰であろうと関係なく、一匹のカエル……一人の獣人として接するのみだ。


「ほれ、ライラなんて青ざめとるぞ」

一人と一匹の視線が、バッとこっちに向けられる。いや、一人はいい。

一匹の方は……
そのくりんとした、真っ黒のつぶらな瞳は、見ようによっては可愛いと言えるかもしれない。

でも、一見ゴツゴツして見えるのに、実際はぬめりとした肌(?)感は、どうにも……馴染まない。色はドブだし。

一ジャンプで数メートル先の私の元まで来れてしまうんじゃないかっていうのは、あながち間違いではないはず。



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