婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「おや、懐かしい客だねえ」

「ドリー!!」

奥から姿を表したドリーに、チェリーのジャンプも高くなる。

「可愛いじゃないか」

ドリーにも、そんな感情があるようで……いや、失礼。
小さな毛玉ちゃん達が、食べ物に見えなくてよかったと思ったのは、彼女がかつて魔女の王女様だったことを思い出したから。決して口には出さないけれど。



「今日は一家で泊まっていくんだったね?」

「うん」
「よろしくお願いします」



チェリー達一家は、やっと外に自由に出られるぐらいに育った子ども達を連れて、はじめてのお出かけらしい。その〝はじめて〟に、ここを選んでくれたのは嬉しい限り。

昼間は、森の中で子ども達を自由にさせてあげる予定だ。天気もいいし、絶好の遊び日和になった。





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