婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
足元でずっと戯れていた1羽を、そっと抱き上げた。まんまるな瞳に、忙しなく動く鼻。そして、このふわふわな手触りと優しい温もり。


「本当に、可愛いわね」

「ありがとう!!」

我が子の可愛さを褒められたチェリーは、満面な笑みを浮かべた。もちろん、高めのジャンプ付きで。


「か、可愛い……ジャレット、聖母がいるぞ。いや、天使か?」

ルーカス……さっきまでのキリッとした顔はどこへいった?
鼻の下を伸ばしただらしがない姿は、もはや王子のそれではない。


「俺の番は、なんて眩しいんだ」


付き合いが長くなるほど、彼の愛情表現はますますおかしな方へ向かっているようだ。




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