婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「ライラ、ん」

今日は珍しく、2品目をくれるようだ。

「なになに?」

グノーの両手に抱えられていたのは、人間の親指ほどの大きさのベビーキャロットだった。柔らかくて甘いベビーキャロットは仔ウサギ達のおやつになる。

「チェリーの子達にね。ありがとう、グノー」

「ん」

早速チェリーに渡せば、「おやつの時間にあげる!!」と、ピョンピョン跳ねながら、「グノー、ありがとう」と、すでに彼が引きこもってしまった厨房に向けて叫んだ。


「あっ、おい。あのアライグマ、ライラに粉かけてるかと思えば、こんな幼な子達にまで!?ライラ、浮気男なんかに靡くなよ!!泣きを見るだけだ」


だめだ、この人……
ジロリとルーカスを見て、盛大なため息を吐いた。


「ライラ、ルーカスの求愛を受け入れなんかしてみろ、苦労が絶えないぞ」

どうやら攻め方を変えたらしい、アルフレッド。

「だから、俺にしておけ」

「遠慮しておきます」

こんなお子ちゃま2人が、かなりの頻度で来店するものだから、森のお宿はなんやかんやと賑やかで、私一人がやたら疲れている。





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