婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「獣人だ人間だなんて、恐れる必要なんてないのにな」


少しだけ悲しげな顔をする彼に、「どういうこと?」って、思わず聞き返していた。


「姿は違っても、本質のところでは変わらないって、俺自身が知ってるからな。
俺は元々、グリージアの人間だったんだ。けど、仕事でサンミリガンに来るようになって……ウサギの獣人と出会って恋をした」


オオカミとかヒョウとか、獰猛そうな動物の話ばかりを聞いていたから、そんな可愛らしい種族もいるのかと驚いた。


「サンミリガンでは、人と獣人の結婚なんて普通のことなんだ。あっ、サンミリガンだけじゃないぞ。獣人と人が共存する国は、どこもそうだって。
で、俺もそのウサギっ子と結婚を決めたんだが……
それが原因で、グリージアを追い出された。家族が猛反対だったからな。そもそも、グリージアで人間と獣人の結婚は認められていない」


確かに、グリージアの人にとって馴染みのない獣人との結婚だなんて、簡単には受け入れてもらえないかもしれない。

けれど、追い出されたって……





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