婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
セシリアより2歳上の王太子、アルフレッド・グリージア。

16歳になったと同時に彼を悩ませたのが、お妃選びだった。


グリージア王国では、16歳になった頃から、お相手探しが始まるのが慣例となっている。数年の年月をかけて、人柄、家柄を見極めつつ、将来の伴侶を見つけていく。
婚姻が正式に認められるのは18歳を迎えてからとなる。それまでに相手が決まれば、婚約者として過ごしながら、相手の家に馴染んでいく。
王族の婚約者ともなれば、決まったと同時に妃教育が始まることになる。


王族であるアルフレッドの元には、その身分もあって、次から次へと縁談が舞い込むようになった。



アルフレッドの人気は、彼の地位のためだけではなかった。

誰にでも分け隔てなく平等に接する公平さ、優しさ。
首席で学校を卒業したという賢さ。

それに加えて、常に温かな笑みを浮かべた整った容姿。


まさしく、誰もが認める王子様。
そんな彼を女性たちが放っておくはずがない。

年頃の貴族令嬢はもちろんのこと、彼より少しばかり年上の女性も、殿下の隣を狙っていると、専らの噂だった。

つまり、アルフレッドのお相手候補は引く手数多だった。


そのアルフレッドが見初めた相手が、セシリア・ローズベリーだった。







< 4 / 260 >

この作品をシェア

pagetop