婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
助けたオオカミ……でない方に懐かれてます。
昼間の仕事を終えて、自分に与えられた部屋で寛いでいたその時。
一瞬、何か見えたような気がして、机に置いた水晶を見つめた。


最近では、不意打ちでなにかを見てしまうことはすっかりなかったから、ちょっと驚いた。


「え……」


見えたのは、土砂降りの雨……
ふと、幼い頃、大雨で道中が危ないかもと、父の外出を必死で止めたことを思い出していた。


これは……

ハッとして窓の外に目をやれば、ちょうどポツリポツリと雨が降り出していた。
今見たのは、まさにこれからすぐのことなのだろうか?






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