甘えたがりな君



 彼のキスに包み込まれ。
 ドキドキし過ぎて心臓がどうにかなってしまうのではないか。
 そう思うくらい彼に溺れている。



 そんなとき。
 彼の唇が私の唇から離れた。


 どうしたのだろう。
 そう思いながら見つめる、彼の顔を。


「そういう表情(かお)も可愛い」


 彼の表情(かお)
 微笑んでいる、やさしく。


 そうして。
 彼は今度は唇ではなく耳にキスをした。

 耳にキスをされ。
 感じてしまう、くすぐったさを。

 それだからか。
 出てしまった、思わず。
 声が。


「なに、そんなにも可愛い声を出して。
 そんな可愛い声を出されると止められなくなる」


 そうして彼はやさしく耳を噛む。



 やばい。
 彼に触れられる。
 そうすると感じてしまう、敏感に。

 それは。
 包まれる、何とも言えない快感に。


 もっと。
 もっと欲しい。

 伝え続ける、彼に。
 心の中で。


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