白いジャージ ~先生と私~
いい姉じゃなかった。


かわいくなかったわけじゃない。


嫌いだったわけじゃない。


私は幼い直を追いかけ回して泣かせたり、髪を引っ張ったり、


お気に入りのぬいぐるみを奪ったり、トイレに閉じ込めたり、

あんたにひどい言葉をたくさん浴びせた。


なのに、あんたは私を恨むどころか、助けてくれた。


お母さんに叱られて、家から放り出された時、


お母さんに泣きながらあんたは頼んだ。

お姉ちゃんかわいそうだから、家に入れてあげてと。


ドアを叩いたり蹴ったりする私を

かわいそうだと言った。


こっそり鍵を開けてくれた直に、ありがとうすら言えなかった。

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