白いジャージ ~先生と私~
だけど・・・
あいつ・・・許せねぇ。
直を泣かすなと言ったのに。
直を大事にしろってあれほど言ったのに・・
私は、あの先生に会いに行こうと思ったが
そこまでの勇気がなかった。
どうしても、あいつの気持ちを知りたい。
何かあるはず・・
12月も半ば・・
私は、眠ってる直の枕もとの携帯の発信履歴から、
新垣和人先生・・・の携帯番号をゲットした。
『もしもし・・?』
『お前・・・殴るって言っただろ?』
私の口調で、すぐに誰だかわかったようだった。
『あ・・・お姉さん・・』
『なんで・・・直泣かせんだよ!』
『今、矢沢はどうしてます?元気にしてますか?』
心配そうなその声は、明らかにまだ直を愛している声だった。
『無理して笑ってるよ。毎日・・・必死で先生のこと忘れようと頑張ってるよ。』
『こうするしかなかった・・・大事だから・・どうしても失くしたくなかった。』
思いつめたような声に、私も強くは言えなかった。
絶対に直には言わないと約束させられて、先生は語り始めた。