白いジャージ ~先生と私~
お姉ちゃん
「おはよう・・直!」
最近、お姉ちゃんはよく一緒に朝食を食べてくれる。
お姉ちゃんの胸で泣いた日から、
何も聞いてこないお姉ちゃんだけど・・
なんとなく・・優しい目で私を見る。
「クリスマス、あんた何してんの?」
お姉ちゃんからこんな質問をされるのも、初めてかもしれないな。
「う~ん・・バイトかな。バイトの後、遊びに行くかも。」
彼氏ができたことは、まだお母さんにもお姉ちゃんにも話していなかった。
安心させてあげる為にも、早く言わなきゃ・・
でも・・・
『先生』が過去になっちゃうような気がして・・。
「あいつ、元気?あの先生。」
お姉ちゃんと目が合った。
オレンジを運んできたお母さんの手も、止まる。
なんとなく気付いていたみんなの気遣いがわかる。
みんな触れないようにしてくれてたんだな・・と改めて家族の愛を感じた。
「・・・うん・・元気だと思う・・」
お姉ちゃんの目を見ることができなかった。
嘘をつくと、見破られるような気がした。
「あんた、もっとわがままになりなよ!相手は大人なんだから、相手の気持ちばっかり考えなくていいよ!今度・・・また家に連れてきなよ・・」
こんなお姉ちゃんを見ることが出来て嬉しい。
なんか・・・不思議な気分。
お姉ちゃんが
私の為に
真っ赤な顔して
怒ってくれてる・・
ありがと。
「ありがと・・お姉ちゃん。でも・・もういいんだ。私、彼氏できたから。」
そう言いながら、涙が出そうになった。
だから、すぐに洗面所に駆け込んで顔を洗った。
冷たい水で顔を洗い、鏡の前の自分を見た。
無理してる私が映る。
彼氏の存在を知って、呆然としてたお姉ちゃん。
何も聞かないけど、
私の気持ち・・・知ってたんだね・・きっと。