白いジャージ ~先生と私~
お姉ちゃんは、大音量で音楽をかけて、それを注意するとお母さんに暴言を吐いたり物を投げたりすること。

ご飯の用意ができても、下には下りてこないこと。

気に入らないことがあると2階の自分の部屋で暴れ、台所に天井が落ちてくるんじゃないかと思うくらいに物凄い音がすること。

お母さんを守ろうとして、私がお姉ちゃんに注意したり文句を言うと、よけいに激しく怒り出し、『お前には関係ない』と言われ、物を投げられたり、髪を引っ張られること。

ドライヤーで髪をセットしてるお姉ちゃんを後ろから見ていて、何度も殴りたいと思ってしまうこと。

いつか仕返ししたいという気持ちがどんどん大きくなってること。

悔しくて悔しくて、何度も壁を殴って、手から血が出たこと。

お姉ちゃんさえいなければ・・・と、涙が枯れるほど泣いたこと。



先生は、私の心の中のドロドロして固いものを吸い取ってくれるようだった。

ただ、穏やかな顔で私のまとまりのない話を聞いてくれた。


「うん、うん」

って。

「そうだな・・」

って。


話し終えて、泣いてる私の頭を先生の肩に引き寄せてくれた。

「大丈夫だからな。お前は間違ってないよ。」

何度も頭をよしよししてくれて、私は子供のように先生に甘えた。


私の罪悪感を、先生が消してくれた。

お姉ちゃんを理解できない私。

お姉ちゃんと向き合うことから逃げてる私。

お姉ちゃんが何を悩んでいるのか、なんて考えたこともない私。



「先生、今日はもう家に帰る。お母さん心配だから・・」

先生は、

「えらいえらい」

ってまた頭を撫でてくれた。


< 12 / 480 >

この作品をシェア

pagetop