白いジャージ ~先生と私~
「俺、教師クビになったら・・カウンセラーの道に進もうかなぁ・・ねぇお父さん!」

酔っ払った先生は、お父さんの肩に手を置いて、絡み出す。

「お~~!!お前それいいじゃないか。お前はカウンセラーの才能あるよ!」


「うん!!確かに私もそう思う。あんたじゃなきゃ、私を更生させられなかったよ・・」

お姉ちゃんの言う通りだ。

先生は、人の心にス~っと入っていける持って生まれた才能があると思う。


「僕ね・・ちょっとしたカウンセラーの資格持ってるんですよ。だから、教師クビになったらしばらくはそっちの勉強をして、時期がきたらまた教師に戻ります・・だから、安心してください。直さんだけは、無事に卒業させますから!!!」

知らなかった・・

カウンセラーの資格・・??


「先生!!聞いてないよぅ!」

ぷ~っとふくれる私に、先生は笑う。

「ごめんごめん・・言うほどすごい資格じゃないんだって!」

「私、何でも知りたいの・・先生のことなら・・」

私は、先生の全てが知りたい。

先生が何を考えているのか、何を悩んでいるのか・・


たまに見せる寂しい表情は・・誰を思ってる?




「これからは・・なんでも話すよ!」


先生は、私の濡れた髪をぐしゃぐしゃにした。





いつのまにやら、お父さんは眠ってしまった。

その横に布団を敷き、お父さんと並んで眠り出した先生。

お父さん・・

お父さんも、先生と一緒に過ごせて嬉しかったんだね・・


今日は、心が壊れてしまいそうに・・・悲しい気持ちだったから・・。




「久しぶりに一緒に寝よっか?」


お母さんの提案で、

私達3人も、隣の部屋に布団を敷いて並んで、眠った。

子供の頃以来・・かな?


なぜか安心する。

これが家族なのかな・・


誰もおばあちゃんの話をしなかったけど

心の中は


おばあちゃんでいっぱいだった。



でも、おばあちゃんの悲しい顔じゃなく

おばあちゃんの笑顔・・



おばあちゃんの笑顔を胸に抱いて眠った。

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