白いジャージ ~先生と私~
車の中と同じで

シンプルで綺麗な部屋。



ピンクのカップを見て、さっきのメールを思い出す。


でも、

明らかに前の彼女の買ったカップ・・・

だよね。



先生の部屋はドキドキして、私の知らない先生を見ているような不思議な気持ちになった。


黒のソファー、ガラスのテーブル、大きなプラズマテレビ。


隙のない部屋。

綺麗な部屋。


私が来なくてもへっちゃらな先生の生活が見えた。

脱ぎかけの靴下や、食べかけのカップラーメンなんてものが、

あってほしかったかも。

私がいつか

先生の部屋の掃除したり、

ご飯作ったり。



それが、夢だった。



慣れた手つきで、紅茶を入れる先生。


みんなは、先生の部屋を見渡したり、ベランダから外を見たりしてる。


「矢沢、ちょっと手伝って。」

先生が自分を指名してくれたことが嬉しくて、


ニヤニヤ。


「は〜い!」


私は台所へ、小走りで向かう。

みんなが寝室チェックに行ったのを確認した先生が私の耳元で、囁いた。

「片付けで徹夜だよぅ。押し入れに詰め込んだから、また手伝って。」



私は、うるうるしそうになりながら頷いた。


温かい紅茶を

幸せな気持ちで運んだ。
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