白いジャージ ~先生と私~
「先生、生徒と付き合ったことある?」


依子は、先生の隣の特等席で上目使いで先生を見る。


私とゆかりはもちろんだけど、

美久までもが依子にはうんざりという顔をしてる。


「俺、ガキに興味ねーよ。しかも、生徒と付き合うなんて、めんどくさい。」

言った後に、なんとなく申し訳なさそうな目で私を見た。

いくらバレない為だとは言え、少し言い過ぎたって顔してる。


「私、立候補しよっかな。先生の彼女。」


返事もせずに紅茶を飲む先生。


「依子、しつこいよ。新垣先生彼女いるって知ってるじゃん。」

冷めた目で、美久はバッサリ。


しばらくの沈黙が続き、その沈黙を誰が破るのか意識してしまうくらい気まずい雰囲気だった。



破ったのは先生だった。


「お前ら、まだまだこれからだよ。今から本気で恋愛して大人になってく。教師は、1番身近で何があっても生徒の味方だし、頼れる存在であるのは当然なんだ。それは、恋じゃなく、憧れや独占欲なのかも知れない。」


静かに話す先生は、

遠い目をする。



「わかる気がする。先生って、独り占めしたくなる時ある。でも、教師だからそう思うだけなのかも。普通のサラリーマンだとしたら、みんなただのおじさんに見えたりして。」

美久は、ケーキをほおばりながら言った。

明らかに美久は、依子の行動や考えに反対だとわかる。


依子は、美久を見ようともせずに

テレビの画面をただ見つめている。


海外の街並を歩く女性が映るそのテレビを瞬きもせず・・ただ見ていた。




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