白いジャージ ~先生と私~
いつの間にか真っ暗になっていた。
手袋の中にまで入ってくる寒い風。
三日月がとても綺麗で・・私とゆかりはベンチに座り、月を見てた。
「ゆかり・・・ありがと。そこまで考えてくれて・・・でも絶対ダメだよ!!」
「ん・・・もういいんだ。好きだけど、私は龍と直だったら直の方が大事。」
ゆかりは、恥ずかしそうに横を向いた。
「・・ゆかり・・・嬉しいけど・・依子は絶対本気じゃないもん。龍も先生もどっちも手に入れようとする子だよ!!」
ゆかりのひざに手を置いて、ゆかりを揺すった。
「龍・・・軽そうに見えるけど、いいやつだもん。いつか依子も、先生を諦めると思う。とりあえず、今のストーキングをやめさせるには、誰か他に関心を持てる男が必要だと思う。」
「ゆかり・・・告白するって言ってたじゃん・・あんなに好きだって・・」
「好きだよ。今でも・・・だけど、あいつは私を好きじゃない。ただのセフレだと思ってる。あいつが、依子に騙されるような男なら、なおさらもういいんだ・・。」
ゆかりの横顔はとても綺麗で、かすかな月の明かりで目がキラキラ輝いて見える。
「私にとっても・・・ある意味、賭けかもしれない。龍が、どんなやつなのかこれでわかる。紹介して、すぐエッチしちゃうような男なら、もう諦めるんだ。」
ゆかりは、私の目を見て、にっこり笑った。
「直は責任感じなくていいんだよ。自分の為でもあるんだ・・。昨日も龍と会ったんだけど、龍・・エッチしながら彼女からの電話に・・出たんだ・・私、悲しくて泣きたいのに・・平気なフリして笑ってた。なんだか・・疲れちゃってさ。」
「そんなことがあったの??ゆかり・・・」
私はゆかりの冷たい手を私の手袋に入れた。
「あったかぁい・・昔よくこうして歩いたよね。」
ゆかりは、潤んだ目で笑ってた。