白いジャージ ~先生と私~

ありがとうが言いたい

終業式が終わった後、依子が私の腕をぶんぶんと振り回す。

「なお~~!!さっき、新垣に頭叩かれてたでしょ?せこい~!!」

私やゆかりが思ってる以上に、依子は真剣に先生に恋してるのかも知れない。

そんなささいな出来事も見逃さないって事は、先生をよく見てる証拠。

私が返事に困っていると、ゆかりが助け舟を出してくれた。

「ちょっと~、依子まだ新垣狙い?やめときなよ、あんなオヤジ!絶対もうすぐはげるよ。」


ちょ・・ちょっと・・ゆかり言い過ぎ・・。

でも、ありがと。私の為に、必死になってくれるゆかり。

「え~?オヤジ??まだ27でしょ?ダメかなぁ。あの髪質は、確かに将来ハゲちゃうかも・・・ぶははは。今、想像しちゃった・・新垣の将来・・。」

依子は、お腹を抱えて大笑いしてた。

仲良しメンバーのうちの一人、さっちゃんの一言に私の笑顔が消えた。



「・・あいつ、彼女いるよ!」


さっちゃんの落ち着いた声と、表情からみんなは静まり返った。

依子を諦めさせる為の嘘ではないことは、みんな感じてた。


「・・さっちゃん、なんで知ってんの?」

依子は、さっきまで笑い転げてたとは思えない真剣な顔で聞いた。

「・・一年の時、友達が告ったんだ。新垣に・・。そしたら、教師らしくうまく交わされたんだけど、その子、結構本気でさ、ストーカーっぽい事してたんだぁ・・。」



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