白いジャージ ~先生と私~
教室に戻り、夏休みの宿題を鞄に詰め込んだ。

担任の話が終わるか終わらないかの時、廊下に先生の姿が見えた。


こうやって、隣の教室まで歩く先生の姿・・何回見ただろうな・・。

先生はゆっくり歩いてくれるんだ。


そのおかげで私はじっくり先生の姿を目に焼き付けることができる。


次に先生と会えるのは、水泳の補習。

8月からだから・・・めちゃくちゃ会えない・・・。

寂しいよ。


土日会えないだけでも寂しい今の私にとって、1週間以上も会えないなんて耐えられない。


せめて、ちゃんと話してから夏休みに入りたい。

じゃなきゃ、勉強どころじゃない。


『ありがとう』って言いたいんだ。

私の心を軽くしてくれた先生に、ありがとうが言いたい。



「ゆかり!!先帰ってて!私・・・話したい!!!」


私は、きょとんとするゆかりを置いて走り出す。



先生のいそうな場所は見当が付く。


体育教官室、職員室、運動場、中庭のベンチ・・・

最初に話しかけた音楽室の前の廊下・・・



あっれ~?いないなぁ、先生。


その時、廊下の向こうからこっちに向かってゆっくりと歩いてくる大きな人影が見えた。


先生!!!



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