白いジャージ ~先生と私~
10時になるとカラオケ禁止らしく、

先生が2曲、先生のクラスの女子が3曲、男子が2曲歌ったところでお開きになった。


「おぉ~~!!お前ら早く寝ろ~!最後にハメ外して悲しませないでくれよ!!」


先生は、一人一人におやすみを言って、手を振る。


最後まで大広間に残った私達6人を見つけて、


「はいはい!!!早く出なさい!!」


と言いながら、電気を消そうとする。



「おやすみ~先生。」

「先生歌うまかったね~!」


ゆかりが名残惜しそうに先生の顔を見ながら部屋を出て、

最後に私が部屋を出ようとした時、


「お前らも早く寝ろ~!」


と電気を消した。



その瞬間・・


強く腕を引っ張られ、電気の消えた真っ暗な大広間で


先生が


ぎゅって


してくれたんだ。



誰にも気付かれないくらい短い時間の出来事。


何事もなかったかのように、先生は私達に手を振った。




私は


それだけで


満足だった。




夜中に部屋を抜け出して

先生を探したい気持ちにもなったけど


今回は我慢しよう。



だって・・・


こんなに素敵な思い出がたくさんできたんだもん。



ありがと


先生。



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