白いジャージ ~先生と私~

黙って車を走らせる。


自分から別れを切り出したくせに


家に着くのが怖くて仕方がない。


もう


この助手席に座ることもない。


もう、この横顔を見ることができない。



信号で止まっても


先生は手を握ってくれなかった。


ただ悲しそうな顔をして

まっすぐ前を見ていた。


私は自分が何をしたいのかわからなくなってる。


別れたいのか


泣いて、すがってほしいのか


引き止めて欲しいのか


子供と暮らしてほしいのか




私は何をしたいんだろう。


もうわからない。


ただ、今は



別れることが


自分にできる唯一のこと。



頭の中はもうぐちゃぐちゃ。



別れたいと言ったのは私。


なのに、


私を見てくれない先生を見て 寂しくなる。



手を握ってよ、先生。


別れたくないって言ってよ、先生。


お前がいないと生きていけないって言って・・・先生。




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