白いジャージ ~先生と私~
家の前まで来て、怖くて仕方がなくて、涙が止まらない。
先生、もう最後だね。
「俺は、お前を好きでいるから・・・ずっと。それだけは覚えてて。」
「私・・・も・・・・・」
先生に引き寄せられた体は恐怖で震えてた。
大切なものを失うことが
こんなにも怖いなんて知らなかった。
力強いはずの先生の腕は
とても弱く
折れそうだった。
「なんで・・・・なんで別れなきゃなんねんだ・・・お互い好きなのに・・・」
ラジオから流れるビリー・ジョエルの名曲が
とても 悲しかった。
「その紙袋は・・・俺にくれないの?」
渡すつもりのない手編みマフラー。
「うん・・・ごめん・渡せないよ・・」
「頼む・・よ。頼むから・・・くれよ・・なお」
先生が泣いてる。
歯を食いしばり
泣いてる先生を
抱きしめたい。
「な・・・お・・・それ、お前だと思って大事にする・・から・・・くれよ、お願いだから・・・」