白いジャージ ~先生と私~

呼び出し

『2年5組の矢沢さん、至急職員室までお越しください。』


校内放送で呼び出されるなんて、入学して初めてだった。


ホワイトデーの浮かれた教室に響く放送は、誰の耳にも入らない。




「失礼します」


職員室の奥に先生の後姿を発見した。


でも、先生に呼び出されるわけはなく・・

私は、担任の先生の元へ歩いた。


「先生・・なんですか?」

「矢沢さん?どうしました?僕、呼び出してないですけど。」

少し気弱な私の担任は目も合わさずにそう言った。




「あ~~!!すいません、先生。呼び出したの、俺です!」




その声は


私の求めていた人の声。


よく通る低い声。




頭を触りながら、こっちに歩いてくる先生は

夕日を背に浴びて


とても素敵だった。





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